11月27日(金)、京王プラザホテル札幌において、北海道バイオ工業会、北海道バイオ産業クラスター・フォー ラム、北海道経済産業局、北海道主催のバイオ産業セミナーが開催された。今回のセミナーは「事業化・販売戦略を考える~事例紹介を通じて~」というテーマ で3名の講師をお招きして行われた。

◎講演1

講 演1では、株式会社NRLファーマ 研究開発部長 桑田英文氏より、「バイオ系ベンチャーの知財・ライセンス契約・販売戦略」と題して、病気を早く見つける・薬をつくるという視点から、SELDI‐MS法 と再構成無細胞タンパク質合成システム、そしてラクトフェリンの3つについて現状と展望、更にはその可能性を述べられた。

SELDI‐ MS法により新たなバイオマーカーやその組み合わせが次々と発見されており、複数の診断薬が開発され新規の医薬品の開発が期待されるという。また再構成無 細胞タンパク質合成システムは医薬品開発への応用として改変し、スクリーニングされたタンパク質から新たな医薬品開発の可能性が期待できるという。そして ラクトフェリンは安全性と多くの機能性を有することから、健康食品としての開発はもとより医薬品としての開発も期待できると述べられた。

◎講演2

講 演2では、北海道立オホーツク圏地域食品加工技術センター 研究員 拔山嘉友氏より「地域資源の活用と食を通じたまちおこし」と題して、一次産業を基幹産業とする地方の取り組みや生産から加工・流通・販売に至るまでを結ぶ 技術について、オホーツクの事例を通してその新しい展望を述べられた。

同 氏は平成18年よりオホーツクの地域の生産者、企業、団体と一緒になって53品目もの地域資源を活用した「きたみスイーツ」や「新・ご当地グルメ」といっ た商品開発(オホーツク北見塩やきそば・網走ザンギ丼・干貝柱塩ラーメンetc.)に参画。豊富で良質な資源に恵まれ、食糧自給率200%を誇る北海道は 地域資源を活用した商品開発と食において無限の可能性を秘め、疲弊した地方経済活性化の切り札になると述べられた。

◎講演3

講 演3では、焼津水産化学工業株式会社 機能食品グループ 中島正民氏より「商品と一緒に思いを届けよう~自社通販事業の立ち上げを振り返って~」と題して、 同社における海洋機能性素材の開発の現状から主力商材N-アセチルグルコサミンの特徴、そして通信販売事業立ち上げに至る経緯とノウハウを述べられた。

通 信販売事業にとって大切なことは商品(コンセプトとターゲット)と広告(媒体・タイミング・頻度・地域)、そしてお客様からの商品の受注から発送、回収、 リピート商品受注に至るまでの仕組みづくり(フルフィルメント)の3つであり、そして何よりも大切なことは、それに携わるスタッフの熱い思いを商品と一緒 にお客様にお届けすることであると述べられた。

セミナー終了後には「交流会」が別室にて催され、参加者による情報交換が活発に行われた。