1月30日(金)、京王プラザホテル札幌において、北海道バイオ産業クラスター・フォーラム及び北海道バイオ工業会参画企業を対象とした新春バイオセミナーが開催された。今回のセミナーは「販路拡大と製品開発を目指して」と題して、2名の講師をお招きして行われた。
1.講演1では、株式会社北海道・シーオー・ジェイピー 代表取締役 木下 勝寿氏より「インターネット業界におけるバイオ製品のマーケッティング戦略」というテーマで、日本のイーコマースの急速な発達の原動力となった3つの戦略についての解説と、それを踏まえて自社の経営戦略について述べられた。イーコマースを多用することによって瞬間的に売上高を上げることは可能だが、それを維持し続けることは難しい。長く安定的に事業を継続していくには、自前の商品で自前のシステムで自前のマーケティング手法を確立させることが不可欠であり、しっかりとお客様・ファンを作り上げることが大切である。イーコマースではお客様との結びつきを全て数値で表し分析することができる。お客様一人ひとりを個別に管理・フォローしていくことにより、お客様との結びつき・信頼を深め、何度も商品を購入していただける関係を築き上げなければならない。それを実現していくには、満足度を高めるためのスタッフ教育、商品開発も欠かせないと述べられた。
2.講演2では、北見工業大学 国際交流センター センター長・教授 山岸 喬氏より「アイヌの植物利用、食用と薬用について」というテーマで、 具体的な文献をもとに、アイヌの歴史からアイヌの人たちの食文化、更には実際に食していた山菜についての機能性研究・データー等が述べられた。北見工業大学では、アイヌの人たちがお茶にして飲んでいたバラ科落葉低木「ハマナス」の機能性について着目し成分を研究した結果、さまざまな機能性に関する特許の取得にいたっている。また特許を活かした商品開発も行っているが、実際ビジネスとして捉えるには解決しなければならないたくさんの課題が出てくることもわかった。
アイヌの人たちが食していた山菜には機能性の高いものが多く、現在、海外で薬用として利用されているものもある。今後そういったものが健康食品素材として十分に活用していけるし、また、それらをおいしく加工することによって町おこしといったことにも利用できると多くの可能性を述べられた。
3.その他においては、北海道経済部商工局産業振興課長 辻 泰弘氏による「北海道のバイオ産業振興施策」についての施策説明や北海道IPO研究会 代表 平井 敏之氏による「成長戦略勉強会」の事業紹介が行われた。
またセミナー後には「交流会」が別室にて催され、参加者による情報交換・会員企業による新商品のPRが行われるなど盛況のうちに終了した。