バイオセミナー
11月15日、京王プラザホテル札幌において、経営者・知財担当者等向けのバイオセミナーが開催された。本セミナーは「バイオ成功企業に学ぶ知的財産戦略」と題し、係争を勝ち抜くことができた知的財産戦略や、経営の危機を救った知的財産権について、判例紹介を含めた当事者からの講演が行われた。
講演2は「雪印乳業の危機を救った知的財産権」と題し、雪印乳業株式会社専務取締役の川成眞美氏によって以下のような解説がなされた。新生雪印乳業株式会社は2005年にチーズ・バター・マーガリンを中心とした乳製品の専門会社としてスターとした。業態は2003年3月期の市乳が50%を占めたのに対し、2007年同期ではチーズが40%へと変化した。この業態変化に応じて研究開発部門の分散・縮小をすることなく、チーズ製品づくりの技術と機能性開発の重点化に努めた。2005年には知財戦略室を設置、事業戦略を核とした経営・知的財産・技術戦略の連携体制をとった。出願内容を高める仕組みとして、知財部門が出願可能性、登録性の吟味から出願手続きまでを管理、更には出願後にも特許検討会において評価を継続する体制を採っている。チーズにおける特許の分野分布の比較では、当社はナチュラルチーズに集中的に特化して他社との差別化を図っている。社内においては、報奨制度を設け、出願奨励金、登録報奨金、更には特許が使用された製品の営業利益に応じた実績賞金を各発明者の寄与率に応じて配分、インセンティブを促している。この7年間を振り返ると、会社の再建を支えたのは創業以来の確固たる技術、それを支えた人材、そしてその技術を権利化して守ってきた知財であると極言できる。今後も技術を戦略的に権利化して知財とする活用する方針は変わらない。